一般的にみて、サロンで行う『トリートメント』の役割は、ご自宅でのヘアケアの助けになる事が一つと、
ダメージの軽減(手触りの向上)の二つが目的だと思います。
しかし、トリートメントには美容師によって自論も多く展開されていて、
その実、お客様がそっちのけの実態があるように感じています。
というのも、髪が死滅細胞であるが為に、『治らない』という概念が覆らない事から、
トリートメントを一部分ではありますが否定する理論と、
手触りや艶のみを重要視した、いわゆる強力な被膜系に2分されている事から、
お客様はどれを選択していいのか分からないといった現状があるんですね。
そして、難しい言葉が並ぶので、どうしても敬遠されがちな所も原因の一端になっていると思います。
上記の現状はさておき、ファーゴではどのように『トリートメント』を考えているのか?????
僕は、『クラッシュ&ビルド』を常に意識しています。
要は、上から何度も乗せる事で起こるビルドアップが質感の劣化に繋がると感じているからです。
ファーゴで扱う(ACC(アルキルカチオンコンプレックス)という物は、
簡単に言えば、高分子のイオン反応で、水に溶けやすい物が水に溶けにくい物に変わる化学反応を利用した施術です。
僕の目的は、縮毛矯正などの伸びを良くしたり、カラーやパーマの持ちを良くしたりと多岐に渡るわけですが、
一般的なトリートメントは上述したように、油分を上から貼り付ける為に、上乗せ構造を取る事が多かったので、
質感は良くなりますが、その後の劣化が顕著でした。
また、ご自宅でお使いのシャントリが強力な被膜だったりすれば、より強固な被膜が形成され、
それらの落とし所が消失します。
この現象を防ぐ為に、『下地』としてコンプレックスを先に敷いてしまうんですね。
いくらACCが難溶性とはいえ、経時と共に緩やかに剥がれていきますので、
来店周期を守って頂ければ、しっかりと管理する事が出来ます。
トリートメントの必要性は、それぞれの自論に有限を持ちませんが、
大切なのは『過剰』であってはいけないという事です。
先ほど書いたクラッシュ&ビルドのクラッシュの部分は、
余計な物を落とすという考え方が必要だと考えていて、
ビルドの受け入れ態勢を整える事が最も重要だと思うのです。
また、トリートメントとして考え方には残留アルカリや過酸化水素、諸々阻害する物質の抑制などによるダメージ促進の軽減も必要で、
施術後に残るいらない成分を極力少なくする事が予後にも大きく影響するんですね。
その為には、しっかりとした『湯洗工程』を行わなけければいけません。
一つ一つの工程を積み上げる事でトリートメントが成立しますので、
急激な変化を促すシステムトリートメントとは違う側面があります。
また、ご自宅で使用するシャントリによって、頭皮が脂漏性に傾く場合があり、
それらが原因で皮脂が過剰に出てしまっていると、
対処はまた変わってきますので、問題点と解決点を結んだ上で、
スケジュールを組んでいく必要があります。
トリートメントと一言にいっても、考え方、そして工程も多岐に渡るんですね。